様々な生き方があるのと同様に、様々な働き方があります。
フードバンク八王子ワークスを無事に卒業したKくん。今は元気に、株式会社シンコーハイウェイサービスで働いています。
Kくんは、発達障害。
過集中や、突然の予定変更などが苦手、それが原因で体調を崩してしまうことがありました。
会社には、そういった特性を理解して頂いた上で、長期の実習体験を経て、障害者枠に就労して半年が過ぎました。
今回は、そんなKくんの様子を取材しました。会社の方々にもお話を伺いながら、Kくんのリアルな日常をご紹介しましょう。
まず最初に、会社の方針としての障害者雇用について、経営管理本部の片山様にお話を伺いました。
「やはり直接のきっかけは法定雇用率の問題です。会社として社会的な責任を果たすべく、昨年度から、障害者雇用の問題に本格的に取り組み始めました」
いろいろと、ご苦労も多いかと拝察いたしますが?
「まだ試行錯誤の段階であると認識しています。特に、現場の社員たちには負担をかけています。障害を持っている方々にどのように接するべきか、そのあたりのノウハウを現場の社員たちを中心に試行錯誤しているのが現状です」
私たち支援機関も、もっとご協力すべきだと痛感しています。
「私の個人的な意見ですが、障害者の(人事)評価という点では、以前もお話させて頂きましたが、一般の正社員とは異なる基準があるべきだと考えています。それと連動して、障害者の方々の仕事の内容なども、もっと考えるべきだと思っていますが、具体的には、まだこれからという段階です」
どのあたりが重要な論点になりそうでしょうか?
「やはり勤怠の安定性でしょうか。精神障害系の方々の勤怠は、どうしても不安定なところがあります。これを仕事の内容と評価軸の中に、どのように位置づけるべきか。今もまだ悩み中です(笑)」
Kくんが働く事業所の上司の方々(大山様と原田様)にもお話を伺いました。お二人からは、およそ次のようなご意見を頂きました
「最近のKくんの仕事の幅は、徐々に広がってきました。任せられる仕事が増えてきたと思っています。遅刻が増えてきましたが、欠勤は減ってきました。これは「遅刻してでも出社する」という意識が高まってきたからだと思います。この点では、微妙かもしれませんが(笑)、評価はできると思います。今後の課題としては、やはり一番大きいのは勤怠の安定性ですね。ただし、無遅刻無欠勤を要求しているのではなく、一定のルールの中で安定化させるということが必要だと。そうしないと、任せられる仕事の幅が、どうしても狭くなりますから」
最後に、Kくんから話を聞きました。(ちなみに、現在のKくんの欠勤日数は2日/月程度です)
「少しづつ、しぶとくなってきたと感じています」
しぶとく?
「はい。これまでだったら休むところが、とにかく遅刻してでも行こうと。自分自身も出社した方が気持ちが楽になるので」
それが、欠勤日は減ってきたけど遅刻が増えた理由だと。
「そうです。遅刻しないのが一番なんですけど・・・。結局、自分が休めば、その分の仕事を誰かがしなければならなくなります。自分の責任は、しっかりと果たしたいと思っています」
無理することにならない?
「体調の自己管理が、自分にとって一番のテーマだと思っていますが、体力が続かないみたいで・・・。週の真ん中くらいで力が抜けてしまうところがあります。なので、水曜日を少しだけ気を抜くタイミングにして、その前後の勤務をしっかり安定化させていく方法を試してみたいと思っています」
大山さんや原田さんに相談しながら?
「はい、そうです。自立的に仕事をしてゆくためにも、いろいろと模索してみたいと」
Kくんが就労して、もう半年が過ぎました。
仕事を遂行する能力に関しては一定の評価を頂いていましたが、勤怠の安定など、まだまだ課題があることは、以上の内容で明白だと思います。
しかし、Kくんは、自ら様々な方法を考えつつ、試行錯誤を続けています。
私たちフードバンク八王子ワークスも、Kくんのことを、これからもずっと応援し続けていきます。
最後になりましたが、株式会社シンコーハイウェイサービスの片山様、大山様、原田様、ご多忙にもかかわらず、貴重なお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。
今後とも、どうか、よろしくお願い申し上げます。